私は愛媛県出身なので、徳島の方言はかなり親近感があります。
ほとんど一緒だと思います。
お遍路2日目は雨で、結構きついな〜と思いながら歩いていました。
八番熊谷寺から九番法輪寺までは、道路工事をしていて迂回路で道に迷い、疲れ果ててたどり着きました。
お昼を食べるところもなくお腹が減ったな〜と思いながら、法輪寺のお参りを済ませました。
お寺から出ると、2軒お店がありました。
1軒は閉まっていましたが、もう1軒は開いていました。
「コーヒー」と書いたのぼりが立っていたのでここで休もうと思って入りました。
しかしすぐに後悔しました。
お店のご主人は初老男性でした。
私は年上男性が苦手です。
でも、すぐに出るわけにもいかずコーヒーと焼き芋を頼みました。
ご主人はトレイにコーヒーと焼き芋を乗せて持ってきてくれました。
ちなみにメニューはコーヒーと焼き芋だけだったと思います。
初老のご主人は話し始めました。
猿の事やイノシシの事、マムシの事を話していました。
色々な事を話している姿をじっと見ていたら、私の父と姿が重なってきました。
方言やイントネーションが同じなので2人が重なってくるのです。
私は人の話を聞く時、多くて8割、少なくて3割の意識しか向けていません。
しかし、話の内容は全て理解しています。
この時は、苦手な年上男性なので3割くらいでしたが、次第に全エネルギーを向けて聞いていました。
なぜなら、父が話しているからです。
私は父と気楽に話した記憶がありません。
今世で、それが心残りですが、いきなり腹を割って楽しく話せるものではありません。
お大師さんが、父を私の目の前に出してくれたのだと思いました。
そして、
「お父さんの話を上の空でなくじっと聞いてみなさい。そして気楽に話してみなさい」
と、導いてくれたのだと思いました、
そのお心に従って、この初老男性の話を聞いて、自分の意見も言ってみました。
初老男性は嬉しそうで、お接待で焼き芋をたくさんくれました。
そして、次のお寺への道順を一生懸命説明してくれました。
初老男性にさよならを言って、歩きながらなぜか涙が出てきました。
お大師さん、ありがとうございました